だから、日本ハム時代から大谷はケガが多くてシーズンをフルで活躍したことが少ない。そして、今回は肘を手術することになった。その肘のケガはどれほどのものだったのか、どこでどのような手術が行われたのかは、いまだに詳細不明です。

 それでも、肘の故障はある程度治るでしょう。私が最も心配しているのは、次の故障で肩を痛めること。プロ野球選手で最初から肩を痛める選手はあまりいませんが、肘など別の所をケガして、それをかばって投げているうちに、肩の故障につながる。肩の故障は治りにくい。名投手でも、肩を痛めて引退した選手はたくさんいます。

 大谷の才能は、投手としても打者としても、いつも言うように本当に素晴らしいものです。それでも次に肩を痛めたら、大した記録も残せないまま投手を断念することになる。もったいない!

──二刀流は野球を知らない人でも話題になり、批判すると「若者の夢を潰すな」といった意見がたくさん寄せられます。

 故障などでチームに合流できなかったとしても、それでも大谷が「二刀流をやりたい」と言うのなら、それも彼の人生です。ハタからとやかく言うつもりはまったくありません。どのような野球人生を送るのかは彼の自由です。みなさんが二刀流を持ち上げているうちは、いろんな人が注目してくれるし、球団としても興行面でメリットがありますから。

 ただ、こうやって二刀流について聞かれた時には、私は元プロ野球投手として、野球のことを知らない人にも向けて「プロ野球投手の本質」を話すようにしています。それだけのことです。

──たしかに大谷も、新人王決定後のインタビューで「(シーズンを)フルで出るのが一番いい。チームに貢献するうえで大事だと思う」と話していました。肘のケガもあり、来シーズンは打者に専念するとのことです。

 その判断はとても良かった。今シーズンのエンゼルスは、春先は良いスタートを切りましたが、結局は4位でシーズンを終えました。大谷もケガで離脱して、チームへの貢献は十分とはいえませんでした。来シーズンを打者専門で過ごすことは、チームにとってもありがたいでしょう。

──2020年に投手で復帰する可能性も残されています。

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打者として活躍すると投手としての復帰が遠のく?