家の中での役割分担やら子育てのやり方、働き方、休み方、オムツの選び方から体温計の置き場所まで日々模索して、揉めたり話し合ったりしながら、着地点を見つけていくのだ。

 以前は、暇があれば携帯ゲームをしていた夫は、今や、暇さえあればメルカリで子供服を探している。

 出不精で、休みには昼まで寝ていた私が、ママ友と情報交換してチビと一緒に行けるイベントを見つけては、朝から足を運ぶ。

 チビが私を親にしてくれて、私たちを家族にしてくれている。

「綺麗なママでいたい」とかどうでもいい。

 どうかと思うくらい、どうでもいい。

 チビを元気に育てられればそれでいい。

 気付けば完全なる「母モード」に突入だ。

 いつの間にやら。

 きっとチビが小学校に上がるくらいまで、この、なりふり構わぬ母モードは続くのであろう。

 そんな気がしている。

 そんな中、今、仕事で演じているのは「女モード」全開の愛人の役。

 こんなにプライベートの自分と役のキャラクターのギャップが大きかったことはかつてなく、

「今、人生の中の面白い時期に突入しているな」

 と思う。

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水野美紀

水野美紀

水野美紀(みずの・みき)1974年、三重県出身。女優。1987年にデビュー。以後、フジテレビ系ドラマ・映画『踊る大捜査線』シリーズをはじめ、映画、テレビドラマ、CMなど、数多くの作品に出演。最近では、舞台やエッセイの執筆を手掛けるなど、活動の幅を広げている。2016年に結婚、2017年に第一子の出産を発表した

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