長友佑都 (c)朝日新聞社
長友佑都 (c)朝日新聞社

 森保一監督が率いるサッカー日本代表は11月16日に大分でベネズエラ、20日には豊田でキルギスと対戦する。今週発表されるメンバー選考を前に注目されるのは「左サイドバック」のチョイスだ。

 過去3大会のW杯に出場し、10月のウルグアイ戦でも健在ぶりをアピールした長友佑都(ガラタサライ)がUEFAチャンピオンズリーグで負傷し、肺気胸で離脱となった。手術は無事成功に終わったが復帰時期は未定となっている。

 また9月の合宿に招集された車屋紳太郎(川崎フロンターレ)も左のハムストリングを負傷しており、11月の代表選考では対象外となる見込みだ。森保監督の就任から続けて招集されている佐々木翔(サンフレッチェ広島)の選出は確実と見られるが、もう一人は新戦力がリストアップされそうだ。

 筆者が有力候補として想定しているのが杉岡大暉(湘南ベルマーレ)と山中亮輔(横浜F・マリノス)だ。さらにあげるなら松原后(清水エスパルス)か。3人ともにJリーグで実力を示しているが、A代表でのパフォーマンスは試してみないと分からない部分が多い。そのため森保監督が誰により可能性を感じ、当面の大目標である来年のアジアカップで戦力になると見るかでチョイスが決まって来るはずだ。

 森保監督の基準に照らし合わせるなら、一番有利なポジションにいるのは杉岡だろう。これまで東京五輪を目指すU-21日本代表でも継続的に招集されており、プレーの特徴やメンタル面がよくわかっているため、A代表と五輪代表を兼任する森保監督が計算しやすいことも大きい。

 指揮官は世代間の融合をコンセプトに掲げ、実際に堂安律(フローニンゲン)、冨安健洋(シントトロイデン)、伊藤達哉(ハンブルガーSV)といった東京五輪世代を招集してきたが、8月にインドネシアで行われたアジア大会にも出場した杉岡がこのタイミングでA代表に加われば、さらにそうした流れを進めることができる。

 20歳の杉岡は攻撃の推進力があり、守備のハードワークをベースにチャンスがあれば果敢に仕掛けて局面を打開する。左足のキック力の高さはルヴァン杯決勝のスーパーゴールでも証明済みだ。湘南では左ウィングバックでプレーしており、森保監督が“代名詞”でもある3-4-2-1をテストする場合にも格好のチョイスとなる。

 湘南のチョウ監督に植えつけられたファイティングスピリットは言わずもがな、守備の対人能力も高い。昨年のU-20W杯では4バックの左で奮闘した経験を持ち、対角線のクロスをはね返す強さもある。ただし、A代表での左サイドバックをどれだけこなせるかは未知数な部分が大きい。また同時に発表が予定されるU-21代表との兼ね合いも気になるところだ。

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長友の不在はある種の“好機”