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「本当の友達が欲しい…」17歳の女子高生に鴻上尚史が助言した「おみやげ」関係とは?

連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」

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 そういう時、自分はどんな「おみやげ」が渡せるだろうかと考えました。

 相手にとって何が「おみやげ」になるかを考えることは、つまり、相手を理解しようとすることです。音楽に興味のない人にいくら最新の音楽事情を話しても、それは「おみやげ」になりません。自分が興味あることと、相手が興味あることが違うことはよくあります。

 そうやって、考えながら「おみやげ」を渡しているうちに、ひとり、本当の友達ができました。たったひとりでしたが、さびしさもみじめさもなくなりました。じつは、彼も「ひとりのみじめさ」を選んで、グループから抜けた人間でした。

 あさひさん。これは僕の場合です。

 あさひさんは「友達のふりをする苦痛」と「ひとりのみじめさ」を自分で天秤にかけないといけません。焦らず、ゆっくり考えて下さい。

 そして、「この人と本当の友達になりたい」と思う人がいたら、「自分はどんな『おみやげ』を渡せるんだろう」と考えるのです。

「おみやげ」は押しつけるものではありません。相手がいやがるものでもいけません。相手がもし、あさひさんの「おみやげ」を受け取る気持ちがないようなら、あきらめるしかありません。ただ、その人がくれた「おみやげ」に感謝していること、嬉しかったことは伝えましょう。

 相手への「おみやげ」を考えることは、人間を理解しようとすることです。それは決してムダな努力ではないです。

 その努力は、あさひさんを成熟させます。人間を見る目を養い、相手の気持ちを察することができるようになります。

 そんな素敵な人は、みんなが友達になりたいと思う人なのです。


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鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。また近著に『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』(講談社現代新書)、谷川俊太郎氏との共著に『そんなとき隣に詩がいます ~鴻上尚史が選ぶ谷川俊太郎の詩~』(大和書房)がある。

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