メルボルン・ビクトリーに加入した本田(写真提供:元川悦子)
メルボルン・ビクトリーに加入した本田(写真提供:元川悦子)
カズ、小野、デルピエロらの移籍を手がけた代理人のスティッカ氏(写真提供:元川悦子)
カズ、小野、デルピエロらの移籍を手がけた代理人のスティッカ氏(写真提供:元川悦子)

 本田圭佑のオーストラリア・Aリーグデビューから約2週間。新天地のメルボルン・ビクトリー(メルボルンV)は10月20日の開幕戦でメルボルン・シティに1-2の逆転負けを喫し、28日のパース・グローリー戦も2-3の黒星。本田自身は初陣で先制点を叩き出し、2戦目も2つのゴールをアシストする大活躍を見せているものの、チームの結果がついてこない。

「目標は優勝ですね。目指すところは去年のメルボルンVの勝ち点(41)。豪州にはプレーオフルールがあるけど、とりあえずリーグで1位になりたい」と本人は開幕前の記者会見で語っていたが、2戦終了時点で10チーム中最下位というのは、思惑と大きく異なる展開と言うしかない。11月は3日のニューカッスル・ジェッツ戦など3試合が組まれている。そこで巻き返しを図れるか。キャプテンマークを巻く本田の真価が問われるだろう。

 その本田は推定2億円という高額年俸で加入した「マーキープレーヤー」だ。マーキープレーヤーとは、サラリーキャップ制の適用を受けずに年俸を設定できる大物外国人選手のこと。過去には2012〜14年の2シーズンにウエスタン・シドニーで活躍した小野伸二(札幌)、同時期にシドニーFCでプレーしたアレッサンドロ・デルピエロ(元ユベントスなど)らがいる。

 Aリーグ史上最高年俸は300〜400万豪ドル(2億4000万円〜3億2000万円)とされるデルピエロだが、本田はクラブに加えて豪州サッカー協会(FFA)も年俸負担した初のケース。一説によれば、FFAが150万豪ドル(1億2000万円)、メルボルンVが100万豪ドル(8000万円)を出したという情報が現地で流れており、FFAを含めた豪州サッカー界全体が絶大な期待を寄せるビッグタレントと位置付けられているのだ。

「ホンダは高度な国際経験を備えているし、メンタリティも常人を超越したレベルにある。過去の代表戦でもオーストラリア相手に凄まじい活躍をしているし、誰もが彼の実力を認めている。この国で成功するのは間違いないんじゃないかな」と語るのは、メルボルン在住の大物代理人ルー・スティッカ氏。FIFA公式代理人(現在は制度自体が消滅)とFIFAマッチエージェントの資格を持ち、過去にカズ(三浦知良=横浜FC)のシドニーFC入り、小野のウエスタン・シドニー入りなどを手掛けた彼は改めて太鼓判を押した。

 今回の本田移籍に関しては一切、関わっていないものの、スティッカ氏は日本人選手のポテンシャルの高さを誰よりも認めている人物だ。

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スティッカ氏が語る日本人選手の裏側