派遣労働地獄から抜け出せない35歳男性の職歴「夢は月給20万円」 (3/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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派遣労働地獄から抜け出せない35歳男性の職歴「夢は月給20万円」

連載「ルポ・ハラスメント職場」

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小林美希dot.#小林美希
※写真はイメージです(写真/getty images)

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 勤務時間は8時から17時まで。契約は3か月更新という条件で、社会保険はきちんと加入される。時給1100円で交通費も別に支給される。繁忙期は残業もあり、残業代は働いた分だけきちんと支払われた。月の手取りは平均17万円だが、今までを考えると良い条件に思えてくる。実際にフォークリフトを使って家具の入った梱包を積み下ろしするのは想像以上に難しいが、日々、勉強だ。

 働く合間にも、もっと良い仕事はないか探している。月給17万円以上の求人を探すが、「職歴がない自分が月に20万円は手が届かない。夜勤をするか、何か資格がないと難しい。35歳を過ぎると、正社員の求人は見つからない。面接にこぎつけても、年齢に見合うようなベテランであることを求められる。けど、自分には職歴がないから無理だ」と、行き場のない気持ちを抱える。

 評判の良い大手の派遣会社はホワイトカラーの仕事の紹介が多く、「残念ながら毛色が違う」と感じてしまう。派遣社員でも大手なら、保養所が使え、健康診断も受けられるなど福利厚生もしっかりしているが、正則さんにとってデスクワークは縁遠い職業だ。

「派遣先の倉庫の管理職は正社員だが、朝8時から夜10頃まで働くことが当たり前。そんな働き方ができるだろうか。正社員は大変なばかりで魅力を感じなくもなっている」と、あきらめ顔だ。

 現在の生活といえば、家賃3万5000円と光熱費の約1万5000円を友人と折半するため、ひと月の生活費は約2万5000円。節約するため、弁当や総菜が半額になる閉店間際を狙ってスーパーに行く。いつも決まって定価が400~500円の弁当を半額で買う。たまの贅沢は、900円の刺身が半額であれば買うくらい。1本100円の発泡酒とつまみを買い物かごに入れ、“自宅呑み”するのが気分転換となる。お金のかかる居酒屋には行けない。

 昼ごはんは、倉庫に出入りの弁当屋を利用する。弁当は300円、カレーや蕎麦は200円と格安だ。最初は「まずい」と食べられたものではなかったが、いつの間にか舌が慣れてしまった。時給で働く派遣社員では、風邪をひくのが怖い。休めばその分、収入ダウンだ。この生活をしながら、どうして将来を考えられるだろうか。


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