米側は、ギリギリになったら、地位協定の見直しや横田空域の返還の問題にはしないという条件を付けて、ほんの少しだけ横田空域の端っこの部分を削ってやるということで恩を着せに来るつもりかもしれないが、そんなことでお茶を濁されてはたまらない。空域を削るだけでなく管制権も返還させないと、空域が変わるたびにパイロットは米軍と羽田空港の管制との間で切り替えを強いられ、事故につながるミスを誘発しかねない。この際、本格的な空域返還交渉をしっかりと行い、それを地位協定の抜本改定交渉の第一歩とすべきだ。

 もっとも、日米地位協定をアイゼンハワー米大統領と結んだのは安倍総理の祖父である岸信介総理だ。祖父のレガシーを孫が壊すなんてことはできっこない。そう考えると、総理に期待するだけ無駄なのかもしれないという気もしてくる。やっぱり、安倍総理を代えないと、この国はいつまで経っても米国の属国のまま。

 悲しいことだが、それが現実なのかもしれない。

著者プロフィールを見る
古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

古賀茂明の記事一覧はこちら