ロッテにドラフト1位で指名された大阪桐蔭の藤原恭大 (c)朝日新聞社
ロッテにドラフト1位で指名された大阪桐蔭の藤原恭大 (c)朝日新聞社

 10月25日に行われたプロ野球ドラフト会議。根尾昂(大阪桐蔭)と小園海斗(報徳学園)に4球団、藤原恭大(大阪桐蔭)に3球団が1位指名するなど、昨年に続いて高校生の野手に人気が集中する結果となった。支配下で83人、育成枠で21人の合計104人が指名されたが、的確な補強だったのかを基準に12球団を採点した。今回はパ・リーグ編をお送りする。

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ロッテ:90点
1位 藤原恭大(大阪桐蔭・外野手)
2位 東妻勇輔(日本体育大・投手)
3位 小島和哉(早稲田大・投手)
4位 山口航輝(明桜・投手)
5位 中村稔弥(亜細亜大・投手)
6位 古谷拓郎(習志野・投手)
7位 松田進(Honda・内野手)
8位 土居豪人(松山聖陵・投手)
育成1位 鎌田光津希(四国IL徳島・投手)

 公言通り、藤原を1位指名して見事に引き当てたことが最大の評価ポイント。高校生の大物投手も欲しかったが、高齢化が進む外野陣だけにこの指名は納得がいく。安田尚憲と2年続けて大物高校生野手に向かったこともチームを大きくしようという意図が見える。勤続疲労の目立つリリーフを補強する意味で、2位で東妻を指名できたこともプラス要因で、この二人だけで高得点をつけられる。気になるのは4位の山口。投手として呼ばれたが、右の大砲候補として野手の可能性も見極めてもらいたい。

日本ハム:85点
1位 吉田輝星(金足農・投手)
2位 野村佑希(花咲徳栄・内野手)
3位 生田目翼(日本通運・投手)
4位 万波中正(横浜・外野手)
5位 柿木蓮(大阪桐蔭・投手)
6位 田宮裕涼(成田・捕手)
7位 福田俊(星槎道都大・投手)
育成1位 海老原一佳(BC富山・外野手)

 根尾は外したものの、高校ナンバーワン投手の吉田を獲得できたことは大きい。高校生にしては完成度も高く、抜擢の早い日本ハムというチームだけに2年目からローテーションとして期待できるだろう。吉田以外も将来性豊かな高校生を多く指名し、育成力に自信があるところを見せつけた印象。超のつく未完の大器である万波は他の球団なら評価しづらいが、日本ハムなら何とかするのではないかという期待を感じる。3位の生田目、7位の福田と社会人、大学生の実力派投手を中位から下位でしっかり確保しているところにもドラフト巧者ぶりが表れていた。

西武:80点
1位 松本航(日本体育大・投手)
2位 渡邉勇太朗(浦和学院・投手)
3位 山野辺翔(三菱自動車岡崎・内野手)
4位 粟津凱士(東日本国際大・投手)
5位 牧野翔矢(遊学館・捕手)
6位 森脇亮介(セガサミー・投手)
7位 佐藤龍世(富士大・内野手)
育成1位 東野葵(日本経済大・投手)
育成2位 大窪士夢(北海・投手)
育成3位 中大智(徳山大・捕手)

 12球団で唯一抽選なしで大学ナンバーワン投手の松本の一本釣りに成功した。弱点である投手陣の補強が急務のチーム事情を考えると、この選択は正しいように感じる。2位で将来性豊かな渡邉が獲得できたこともプラス要因。3位の山野辺も浅村栄斗が抜けた時の補完としては的確な指名に見える。少し物足りなかったのは高校生の野手。森友哉以外は主力が軒並み中堅からベテランに差し掛かっているだけに、もう少し打撃に特徴のある強打者タイプを指名してもらいたかった。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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