東洋大・甲斐野央 (c)朝日新聞社
東洋大・甲斐野央 (c)朝日新聞社

 今月25日に開かれるプロ野球ドラフト会議。今年も大阪桐蔭・根尾昂や金足農・吉田輝星をはじめ、球界の未来を担う逸材が揃っている。では、いったい各球団はどんな選手を獲得すればいいだろうか。野球ライターの西尾典文氏に過去の傾向も踏まえて、12球団の「おすすめ選手」を分析してもらった。今回はパ・リーグを制覇した埼玉西武ライオンズだ。

*  *  *

 10年ぶりのリーグ優勝を果たした西武。かつての黄金時代のような緻密さはないものの、豪快に打ち勝つ野球は今年のペナントレースを席捲した。ドラフトでは地方の大学リーグから積極的に選手を獲得する独自路線が目立つが、しっかりと結果に繋がっている。

・過去10年支配下指名選手内訳
高校生投手:9人(主力:1人 戦力:2人)
高校生野手:11人(主力:2人 戦力:1人)
大学生・社会人投手:29人(主力:8人 戦力:4人)
大学生・社会人野手:14人(主力:5人 戦力:4人)

・過去10年上位指名選手内訳
高校生投手:5人(主力:1人 戦力:2人)
高校生野手:2人(主力:1人 戦力:0人)
大学生・社会人投手:11人(主力:5人 戦力:2人)
大学生・社会人野手:2人(主力:1人 戦力:0人)

・過去10年育成指名選手内訳
高校生投手:0人(主力:0人 戦力:0人)
高校生野手:2人(主力:0人 戦力:0人)
大学生・社会人投手:0人(主力:0人 戦力:0人)
大学生・社会人野手:3人(主力:0人 戦力:1人)

 過去10年の指名の内訳を見ると大学生、社会人の獲得とそこから戦力になった選手が多いことがよく分かる。投手では多和田真三郎、増田達至、十亀剣などがその代表格で、野手は秋山翔吾、山川穂高、外崎修汰、源田壮亮などさらに凄い顔ぶれが揃っている。高校生も数は多くないものの菊池雄星、浅村栄斗、森友哉、今井達也といった大物がしっかりと主力になっているのは見事。独自路線だけに偏ることなく、大物選手の獲得にもしっかり向かってきたことが今年の優勝に繋がったと言えるだろう。

 ただ、チームの構成を見れば弱点が投手陣だというのは明らかだ。特にリリーフ陣が不安定なのは長年の課題で、今年もそれは解消されることなくシーズン途中で外国人選手を補強するなど、何とかやりくりして乗り切ったという印象は否めない。ドラフトでもまずは投手陣の補強に向かうべきだろう。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
西武におすすめの選手は…