ロペスはこれを自分に対する侮辱行為と受け取り、「チャンスがあったら、やり返そうと思っていた」という。

 そして、楽天3勝2敗で迎えた第6戦(同)、田中は5回1死二塁、ロペスに同点2ランを浴びてしまう。

 これ見よがしのガッツポーズで田中を挑発したロペスは、一塁を回るときに悪口と思われる言葉を吐きかけたばかりでなく、三塁ベースを回るときにも、マウンドに向かって何かを言っていた。あまりのしつこさにムッとした田中も「うるさいわ!ボケ!」と言い返し、険悪なムードが漂った。

 ロペスとのやり取りの直後、冷静さを失った田中は、四球を挟んで3連打を浴び、日本一は第7戦までお預け。レギュラーシーズン開幕以来の“不敗伝説”も「26」でストップした。

 その後、ロペスの挑発が第2戦の“報復”だと知った田中は、「そもそも、あいつに対して(ガッツポーズを)やってないですよ。大体“人に言うなら自分がやるなよ”って話」と反論したが、ガッツポーズの代償は高くついてしまった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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