大阪桐蔭・藤原恭大 (c)朝日新聞社
大阪桐蔭・藤原恭大 (c)朝日新聞社

 2018年のプロ野球新人選択会議(ドラフト)は今月25日に開催される。今年は大阪桐蔭の根尾昂や藤原恭大、金足農の吉田輝星といった甲子園をわかせた高校球児に注目が集まっているが、必要な補強ポイントから各球団のドラフト戦略を冷静に探ってみる。今回取り上げるのは今季セ・リーグ3位になんとか滑り込んだ読売ジャイアンツだ。

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 高橋由伸監督の辞任劇には正直、驚いた。育成面ではうまく選手の能力を引き出していたのに、もう1、2年どうにかならなかったのか、高橋監督を招聘した者たちの力のなさを感じずにはいられない。

 世代交代を進めるチーム作りは進行していると言えるだろう。なにより、プロ4年目の岡本和真がブレークしたのは大きく、チームの主軸として計算が立った。4、5年は安心して任せられるだろう。岡本のほか、田中俊太もレギュラーに近いところまで成長した。ケガで離脱してしまったものの、吉川尚輝も将来のジャイアンツを担ってくれそうだ。

 一方で高齢化が目立つのが、長野久義、亀井善行がレギュラーを張る外野陣だ。シーズン終盤までは重信慎之介が期待を抱かせる働きを見せたが、レギュラー候補者という視点で見ると、少し層の薄さが目立つ。

 そこでドラフト候補になるのは、高校生では藤原恭大(大阪桐蔭)、大学生では辰己涼介(立命大)、社会人の笹川晃平(東京ガス)だ。3人ともスカウト陣からの評価は高いが、指名の決め手は即戦力なのか、準即戦力なのか、2、3年後からの将来性なのかの違いだろう。

 チームが外野陣に2、3年の猶予を感じているのなら、藤原の指名に迷うことはない。ルーキーからのデビューは無理でも、3年目以降に活躍が見込めるはずだ。藤原なら、巨人の顔にもなれる。一方、来年の開幕スタメンは無理でも、シーズン途中、あるいはその翌年からのレギュラーとなれば辰己、開幕スタメンを求めるならば笹川だ。二人には藤原ほどのスケールは感じないものの、レギュラーとして活躍してくれる素材だ。

 ただ、巨人は今オフのFA市場で丸佳浩(広島)を狙っているという噂も耳にする。丸を獲得できるかどうかは不透明だが、本気で的を絞っているとしたら、外野手の指名は下位からの掘り出しモノでも事足りる。

 となると、次に課題となるのが坂本勇人の「後継者問題」だ。

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