西尾典文
上位指名の二人は将来を見越してのものだが、直近で手当てしたいポイントとしては勤続疲労が目立つリリーフ投手陣と高齢化が進んだ外野手となる。3位の山上、4位の平木はリリーフを手厚くするための指名だ。山上は関西の大学球界を代表する本格派右腕。がっちりした体つきで安定した下半身を生かしたフォームには安定感がある。先発でも面白いが、長いイニングだとそこまでストレートの威力を感じないだけに、リリーフで常に全力投球した方が良さが生きるように見える。
平木は少し変則なフォームが特徴のサウスポー。小さいテイクバックでボールの出どころをうまく隠し、そこから鋭く腕を振ってくるため打者はタイミングが取りづらい。スピードは140キロ台前半だが数字以上に速く見え、変化球でもよく腕が振れるのも長所だ。松永昂大しか頼れる左のリリーフがいないだけに狙いたい選手である。
一方、長沢は大学球界トップクラスの脚力を誇る外野手。打者奏者としてとにかく足を緩めることがなく、平凡な内野ゴロでも野手が少しもたつけば内野安打にしてしまうスピードは圧倒的なものがある。まだまだ細身だが年々打球に力強さが出てきているのもプラス材料だ。守備範囲も広く、引退した岡田幸文の後釜として期待できるだろう。
過去2年の成績は芳しくないが、数年前に比べると将来が楽しみな若手選手は少しずつ増えてきている。今年の戦い方を見ていても、若手を抜擢する機運が高まっていることは間違いないだろう。その勢いを加速させるためにも、過去3年の指名と同様にスケールと将来性のある選手を積極的に狙ってもらいたい。
●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。
西尾典文
西尾典文／1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所（PABBlab）」でも毎日記事を配信中。
西尾典文の記事一覧はこちら
ラリー遠田
ラリー遠田
森朋之
廣津留すみれ
