ソフトバンク・高橋礼 (c)朝日新聞社
ソフトバンク・高橋礼 (c)朝日新聞社

 4投手で与えた四死球は10、被安打11本の計13失点。ソフトバンクのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第2戦は、投手陣が崩壊して8点差をつけられての大敗。「典型的な負け方じゃ」と試合後、ボヤきが止まらなかったのは、達川光男ヘッドコーチだった。

 17日の初戦は10-4の快勝。その勢いに乗って……のはずの第2戦。しかし、中4日登板の先発、アリエル・ミランダが2回7失点の大乱調。メジャー通算13勝を誇る左腕は、今年7月のシーズン途中での入団ながら西武相手に3戦2勝。先月29日にはメットライフドームで、西武相手に7回1失点の好投で白星を挙げるなど、決して相性が悪いわけではない。

 ただ、レギュラーシーズン2位からのCS進出で、ファースト、ファイナルの2ステージを戦い抜くには、最大10日で9試合、そのうち6勝を取る必要があるだけに、ポストシーズンでは、どうしても信頼度の高い投手へ過重な負担を強いてしまうことになり、第3戦に先発予定の千賀滉大も中4日での登板。工藤公康監督も「ファーストステージから勝ち上がってきたチームは、こういうところも考えてやらないといけない。勝つために投手に無理を言っているところはあると思う」と認めている。

 負けられない。負けられない─。その重圧が、助っ人左腕にものしかかるのは避けられない。ただ今回は、大きく期待を裏切った。1回、西武の5番・栗山巧に2試合連続となる2号3ラン、続く2回にも3番・浅村栄斗に1号3ランを許すなど2回7失点。ヒットの走者をためて本塁打という悪循環に「大事な試合に先発させてもらったのに、チームの力になれなくて申し訳ない」とミランダ。よーいドンでいきなりずっこけた形となっては、序盤の3回までに打線が5点を奪って反発力を見せても、大量失点のせいで結局は追いつけず、追い越すこともできなければ反撃ムードも次第に失せてしまう。「きょうは何もないだろ? 昨日の『ひっくり返し』みたいなもんだからね」と球団会長の王貞治も試合後は厳しい表情を隠せなかった。

 その大敗の中で、明るい兆しも見えた。5-8の3点ビハインドとなった3回2死一、二塁のピンチで打席に迎えたのは、2回に3ランを放った浅村。ここでソフトバンクは、ルーキー左腕の大竹耕太郎から高橋礼にスイッチした。ドラフト2位ルーキーは、身長188センチの長身ながら、その大きな体を折り曲げて繰り出す「アンダースロー」が特徴。この右腕が西武打線を沈黙させたのだ。

「前々から、タイミングが合っていない感じもあったので、とにかく自信を持っていこうと思いました」

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高橋礼が抱く自信の背景は