日体大・松本航 (c)朝日新聞社
日体大・松本航 (c)朝日新聞社

 2018年のプロ野球新人選択会議(ドラフト)は今月25日に開催される。今年は大阪桐蔭の根尾昂や藤原恭大、金足農の吉田輝星といった甲子園をわかせた高校球児に注目が集まっているが、必要な補強ポイントから各球団のドラフト戦略を冷静に探ってみる。今回取り上げるのは今季セ・リーグで最下位に終わった阪神タイガースだ。

*  *  *

 昨季の2位から一転、今季は最下位転落。いつかの“ダメ虎”に戻ってしまったようだ。

 安定しない起用法、繰り返される外国人助っ人のスカウティングミスなど、たくさんの要因が考えられるが、そういったものをすべてやり直せるのがドラフトだ。

 ただ、ここ数年のドラフトを見ても、決してうまく行っているとはいえない。昨季は早実の清宮幸太郎(日本ハム)の重複指名に参加して外し、慌てて地元の安田尚憲(ロッテ)の獲得に切り替えるも、こちらも抽選外れ。安田はタイガースジュニア出身の選手だっただけに、地元の星を逃した戦略面から再考すべきだろう。

 第一の補強ポイントは先発投手だ。去年と今年でローテーションの顔ぶれがガラッと変わっている。これは、誰が投手の軸になって戦っていくかが明確になっていない証拠だろう。ひとまずは、チームの中心となるローテーション投手の獲得から目指していきたい。

 昨年の失敗も考慮に入れて、1番手は松本航(日体大)が適任だ。最速155キロのストレートとスライダー、スプリットなどを多彩に投げ分けるが、一番の持ち味は安定感だ。大学時代に防御率1点台をキープした実績はただ者ではない。今の阪神の投手陣に最も欠けているタイプで、どんな状況でもローテーションを守ってくれる存在は貴重だ。地元・兵庫県出身の彼を指名しない理由が見当たらない。

 投手ではなく野手に指名を絞るなら、藤原恭大(大阪桐蔭)だろう。福留孝介、糸井嘉男がベテランの年齢に差し掛かり、後釜候補が生まれていないというのが現状で、高山俊、江越大賀らが伸び悩んでいる。高校トップ評価の外野手・藤原は適任と言えるだろう。

次のページ
外野のスーパースター候補を狙え