番組初期、大島渚、野坂昭如、小田実、栗本慎一郎らが激論を交わしており、左右のイデオロギーがガンガンぶつかったことがあった。平成に入って、オウム真理教の麻原彰晃が出演したこともあった。

 1990年代まで『朝生』は論壇でも取り上げられることがあったが、前述のように、いまは話題性に乏しくなり、元気がなくなった。左右の対立軸がなくなり、時代の変化、強烈なキャラクターを持つ出演者が少なくなったからだろう。もちろん、若者のテレビ離れも大きい。

『朝生』を契機にブレークした学者は少なくない。前出の栗本、西尾、宮台、香山などは、もともと論壇、ジャーナリズムで名前が知られていたが、『朝生』文化人として一気に知名度を高めることになる。

『朝生』が生んだ最大のスターは舛添要一であろう。ほとんど無名の大学助教授だったが、博学で論争に強いところが評価される。東京大を辞めて、国会議員となり厚生労働大臣を3期務めたあと、政党代表、東京都知事に就いた。この間、首相候補といわれたこともある。

 舛添に続くような存在感のある『朝生』論客は出てくるだろうか。

 大学の役割には社会貢献がある。大学教員は積極的に『朝生』など討論番組に登場して専門的なテーマをわかりやすく解きほぐしてほしい。

(文/小林哲夫教育ジャーナリスト)