一方、柴崎はより長短のパスを織り交ぜ、攻撃の軸として振る舞いながらオフ・ザ・ボールで相手のプレッシャーをいなし、逆を取って効果的な縦パスや決定的なロングパスにつなげる。もちろん機を見た攻め上がりからミドルシュートを狙う、あるいはワンタッチのリターンやクロスでアタッカーのフィニッシュを演出するプレーもあるが、試合の流れを読みながらオプションを使い分け、周囲の選手を生かすことに優れている。

 また、ディフェンス面では、柴崎が高めの位置で相手のパスコースを限定しながら、連携でのインターセプトを狙うプレーを得意としているのに対し、最終ラインもこなせる遠藤は相手の起点になる選手を厳しくチェックし、臨機応変に周囲の選手をカバーしながらボールを奪うなど、中盤の選手としてはかなり気の利いた守備ができる。また、中盤で発生する空中戦やセカンドボールにも強く、相手FWがポストプレーをした際に味方のセンターバックと挟んでボール奪取につなげることも可能だ。

 コスタリカ戦での遠藤と青山のコンビも、慣れない組み合わせにしてはお互いの特徴を生かした補完関係ができていた。だが、「また青さんとは違ったタイプなのかなと僕自身は感じてます」と語る柴崎が、遠藤とボランチを組んだ場合は攻撃の幅の取り方、中盤でのリズムの使い分けなどに変化が生じると想定できる。ただ、今回の相手はウルグアイだ。中盤の強度は過去の2試合より高くなることは間違いなく、それは守備においても生命線になってくる。

 レベルの高い相手にこのセットがどう対応し、森保監督も求める彼らの持ち味を発揮することができるか。来月の2試合、そして森保ジャパンの最初の“本番”となる来年のアジアカップに向け、特に注目するべきポイントだ。(文・河治良幸)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)、『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の“天才能”」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行。