しかし、今夏に移籍したベルギーのシントトロイデンでは、ボランチやアンカーとしてプレーしている。これまで、中盤で起用されても主に守備での働きが評価されていたが、ベルギーリーグでは、デビュー戦ゴールを飾ると攻撃面でもかなり積極的なプレーを見せ、新境地を開拓している。

 遠藤自身は「今までは3バックをメインにやっていきながら、代表ではボランチでプレーしたりもすることが多かったけど、今はボランチでプレーしていきながら、オプションかどうかわからないですけど、今後も3バックでも入るということに関しては全く問題ない」と語る。マルチに複数のポジションをこなせる従来の特長は残しながら、ボランチとして代表でも主力定着にチャレンジしていくことに手応えをつかんでいるようだ。

 一方の柴崎は、スペインでの活躍によりロシアワールドカップ最終予選のラスト2試合を前に2年ぶりの代表復帰を果たしたが、ハリルホジッチ元監督には中盤でも前目のポジションで期待されており、西野前監督に代わってからも、ワールドカップ直前合宿のスイス戦まではトップ下、あるいはサイドハーフで起用された。

 そのスイス戦後に当時の起用法について質問すると、柴崎は「(トップ下は)僕よりふさわしい選手がいる」と語り、スタッフにポジション変更を相談する方針を明かした。そこから柴崎は本番前の最後のテストマッチとなったパラグアイ戦でようやくボランチで起用され、卓越したゲームメイクで4-2の勝利に貢献。その後のワールドカップでの活躍は、周知の通りだ。

 柴崎はもともと高いパスセンスや視野の広さを備えていたが、90分のゲームコントロールについても自信を付けてきている。ただし、今季は所属クラブのヘタフェでほとんど出場チャンスを得られておらず、出たとしても攻撃的なポジションでの起用であり、周囲からも試合勘など不安の声は聞かれる。柴崎本人も「もちろんコンディションはやってみないとわからない部分もあります」と認めながらも「個人的にはボランチの選手だと思ってます。やってみたいポジションもそこ」と主張する。ボランチでのビジョンは常に温めているようだ。

 遠藤と柴崎の組み合わせは、補完関係、相乗効果という意味で、青山と三竿のコンビともまた違った魅力と可能性がある。コスタリカ戦で南野のゴールをアシストし、伊東による3得点目にも起点として絡んだ遠藤は、そうした前向きのパスから高い位置までプッシュアップして攻撃参加する形を得意とする。組み立てについては、ベルギーで「中盤で一人はがすプレー」も取り入れる姿勢を見せているが、基本的にはシンプルに短いパスを味方に付けて前に出るか、後ろでリスク管理するかを使い分けるタイプだ。

次のページ
柴崎と遠藤の補完関係