■漫才は「やすきよ」に匹敵する名人芸の域

 お笑い評論家のラリー遠田氏も千鳥をこう評価する。

「千鳥はお笑い界に久々に現れた“本格派“の芸人。本格派というのは、キャラやフレーズに頼らず、番組の中心に立って堂々と面白さを発揮できる人のこと。今、自然体でのびのびと振る舞えるようになってからは、彼らの本来の面白さが出てきて、人気も評価もうなぎのぼりです。ノブさんが『~じゃ』という岡山弁を強調したり、こわもての大悟さんが身なりを小奇麗にするようになったのも、人気が上がった理由のひとつでしょう。芸人仲間の間で『間違いなく面白い』と認められ、尊敬されている人しか、頂点に立つことはできません。千鳥にはその資格が十分にあると思います」

 千鳥の真骨頂とも言える漫才は、今年も単独ツアーが開催されており、チケットは即日完売状態。前出の放送作家は「どれだけテレビで忙しくても漫才だけは絶対、手抜きしないのが千鳥の良さ」と続ける。

「千鳥の漫才ネタは、あの2人がいてこそ生まれる独特な笑いが特徴です。大悟の独創的なボケとノブの嘆きツッコミという強烈な武器はあるものの、ネタの面白さ以上にあのキャラだからこそ笑いになる。誰にもまねできないという意味では、往年のやすきよ(横山やすし・きよし)にも匹敵する名人芸の域です。2005年のM-1で優勝したブラマヨも、誰もまねできない唯一無二の漫才師として頭角を現し、彼らもまた“第二のダウンタウン”と呼ばれていた時代がありましたが、今、ブラマヨはそこまで成功は収めてない。それは『スタッフや男性視聴者ウケはいいのに、女性票が弱いから』だとも言われてます。それを意識してるからなのか、ノブはヒゲを永久脱毛し、メンズエステに通っているそうです」

 果たして千鳥は第二のダウンタウンとなれるのか、それとも第二のブラマヨで終わってしまうのか。いま、その真価が問われている。(ライター・藤原三星)

著者プロフィールを見る
藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

藤原三星の記事一覧はこちら