-野村監督、若松監督時代のヤクルトは日本シリーズに5回出場して4回日本一に輝いており、負けたのは92年の西武だけ。かなり強さを発揮していたと思うのですが、短期決戦ならではのポイント、難しさなどはどんなところにあるのでしょうか?

「一つはレギュラーシーズンとは別ということ。いかにコンディション、調子が良い選手を見極めるかということが大事だと思います。調子が悪いまま、日本シリーズに入って、その短期決戦の間に取り戻すということはかなり難しいです。クリーンアップの3人全員が打つようなことは、まずありません。あと短期決戦に合わせて、その年でベストのピッチングをするような投手もいます。相手チームにそんな投手が出てきたときに、打てない中でいかに点を取るか、こっちのピッチャーが先に点を取られずにどうやって終盤勝負に持ち込めるか、そういうところは難しさとしてあると思います。ただ、野村監督も話していましたが、基本的な野球の本質は変わりません。先頭打者を出さない。中心選手をしっかり抑える。そういうところがしっかりできるかは重要だと思います」

-場合によっては中心選手であっても不調ならば外すということも必要ですか?

「でもそれはなかなかできないんですよ。中心選手にはプライドがありますから。その選手に対して、『今お前は調子が悪いんだから』とはなかなか言えません。選手は自分で気づいて対応できるかどうかです。たとえホームラン、ヒットが出なくても進塁打を打てる、ファウルで粘れる。そういうことが自発的にできる選手がいるチームは強いですよね」

-他にも短期決戦ならではの選手の起用法なども見られることがありますが、選手起用でのポイントなどはありますか?

「普段は先発をしているようなピッチャーを中継ぎで使うケースがあるじゃないですか。その時は、注意が必要だと思いますね。先発の3番手、4番手のようなピッチャーは登板機会が少ないのでリリーフで使いたくなるのですが、先発の時のようなピッチングがそのままできるわけではありません。準備の仕方も違うし、タイミングにも慣れていない。本人の気持ちの問題もある。だからもしリリーフで使うのであればちゃんと話をして、準備をして臨ませないと打ち込まれることが結構あります。タイプ的に向いてないと思ったら、『もったいない』と思わずにリリーフでは使わない方がいいですね」

-キャッチャーの立場から見てリード面などのポイントはいかがですか?

「一つは内角を投げられるかどうかですね。あまり対戦したことのないピッチャーに内角を攻められるとバッターは嫌なんですよ。西武とやったときは逆に伊東(勤)のリードを研究しましたけど、力のある投手が多かったこともあって外角が多いオーソドックスな配球だったので怖さは、そんなにありませんでした。逆に、うちは荒木や(伊東)昭光など、右打者の内角にシュートを投げられるピッチャーをよく起用して対抗していました」

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