となると、レギュラーシーズン3位のDeNAは、17日に勝って1勝1敗になっても、2位・阪神を上回ることができないため、2日連続中止になった時点で敗退が決まり、阪神が労せずして最終ステージに駒を進めることができたはずだった。

 だが、主催権を持つ阪神の営業サイドは、せっかく苦労してチケットを入手したファンが、雨天中止では浮かばれないという心情面を考慮して、雨中の“泥試合”強行に踏み切った。「まさか連敗はないだろう」という皮算用もあったかもしれない。

 そんななか、3時3分に始まった試合は、コールド打ち切りを想定し、逃げ切りを図った金本知憲監督の早めの継投が裏目に出て、5回に逆転したDeNAが13対6と大勝。17日の3回戦もDeNAが6対1と連勝し、なんと、敗退寸前の崖っぷちから大逆転で最終ステージへ。目前で進出を逃した阪神にとって、試合強行のツケはあまりにも大きかった……。

 雨中の一戦を境に打線が目を覚ましたDeNAは、最終ステージでも広島を下して日本シリーズ進出を果たし、“下剋上”を実現。一方、阪神は今季17年ぶりのリーグ最下位に沈んだ。「あの試合が中止になっていれば、こんなことにならなかったかも……」。そんな虎ファンのボヤキも聞こえてきそうだ。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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