2014年、CS最終ステージ進出を決め、拳を突き合わせる阪神ナイン (c)朝日新聞社
2014年、CS最終ステージ進出を決め、拳を突き合わせる阪神ナイン (c)朝日新聞社

 2018年のクライマックスシリーズも始まったが、日本シリーズをかけた熱い戦いの裏で、意外な珍事件も起きていた。今回は、「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、クライマックスシリーズにまつわる“B級ニュース”を振り返ってもらった。

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 延長12回表が終了した時点で0対0。まだその裏の攻撃が残っているのに、“サヨナラ引き分け”の珍事でゲームセットになったのが、2014年のセ・リーグ第1ステージ、広島vs阪神甲子園)第2戦。

 前日、広島を1対0で下し、最終ステージ進出に王手をかけた阪神は、第3戦までもつれ込んで1勝1敗1分の同率になっても、レギュラーシーズン3位の広島より上位なので、規定により、進出が可能になる。つまり、第2戦で引き分け以上なら、OKなのだ。

 試合は阪神・能見篤史、広島・大瀬良大地の両先発が気迫のこもった投手戦を展開。両チーム無得点のまま終盤に入り、広島は8回からヒース、中崎翔太とリレー。阪神も9回から守護神・呉昇桓がマウンドに上がり、来日初となる3回を投げたが、延長11回を終わっても、依然0対0。もし12回までに決着がつかない場合は、規定により、引き分けとなる。

 12回表、広島は2死から田中広輔が左前安打で出塁したが、次打者・鈴木誠也が3番手・福原忍に中飛に打ち取られ、スリーアウトチェンジ。これにより、広島の勝ちはなくなった。

 そして、前年から採用された新ルールに則り、その裏の阪神の攻撃は自動的になくなり、CS史上初の12回表引き分けコールドゲームが適用された。引き分けによる進出決定、2試合で計1点しか取れずに進出するのも史上初という初ものずくめだった。

 球団としては、5度目の挑戦で初めて最終ステージ進出を実現した和田豊監督は「この甲子園で、昨日、今日と緊迫した展開のなか、投手陣がよく頑張ってくれました。昨日、今日と申し分ありません」と感激の面持ちだった。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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「サヨナラ引き分け」はパ・リーグでもあった!