そのため、昨オフはダルビッシュ有をはじめとした大物FAの去就がなかなか決まらなかった。ボラス氏のクライアントの1人であるマイク・ムスタカスなどはロイヤルズからの年俸1740万ドルのクオリファイング・オファー(大物FA引き留めを狙って出されるオファー。これを破棄した選手を獲得したチームは旧所属先にドラフト指名権を譲渡する義務が発生する)を蹴ってFAとなったものの、最終的には大型契約を結べず年俸650万ドルの1年契約でロイヤルズに出戻らざるをえなかった。

 こうした状況にはボラス氏ら代理人たちも怒り心頭で、球団側の姿勢を厳しく批判した。もっとも、昨オフの冷え込みはブライス・ハーパー(ナショナルズ)など多くの大物選手がFAとなる今オフをにらんでのものとの見方もあり、それが事実なら今オフのストーブリーグは再び活気づくだろう。ちなみに、ハーパーの代理人もボラス氏であり、その新契約は総額3億2500万ドルの13年契約というメジャー史上最大の契約で昨オフにマーリンズからヤンキースへ移籍したジャンカルロ・スタントンのそれを凌駕するともいわれている。ボラス氏が辣腕を振るうのは確実で、ファンの度肝を抜くような大型契約がまたしてもみられるはずだ。(文・杉山貴宏)