胴上げされる西武の辻監督 (c)朝日新聞社
胴上げされる西武の辻監督 (c)朝日新聞社

 西武がパ・リーグを10年ぶりに制覇した。

 山賊打線と称される打線はリーグトップの得点を挙げ、ライバルたちを沈めてきた。シーズン最多安打記録を持つ秋山翔吾を旗頭に、走・攻・守の全てをハイレベルにこなす源田壮亮、勝負強さが光る浅村栄斗、40本塁打以上をマークした山川穂高、円熟味を増した栗山巧、天性のアーチスト中村剛也ら役者がそろっている。

 前半戦はクリーアップを打った森友哉やベンチにいるメヒアを含めても長打力が高いことが特徴で、「豪快」に打ち勝っていくイメージは浸透しているといえるだろう。

 ただ忘れてならないのは、盗塁数がリーグトップの128個(※成績は全て9月30日現在)をマークしていることからも分かるように機動力の高さもストロングポイントのひとつだ。これは今季に始まったことではないのだが、盗塁数が多く、犠打が少なく、併殺打もリーグ最少というデータが出ていて、これらの数字にこそ、西武打線の本当の強さがある。

「何でもかんでもがむしゃらに走っていた去年とは違いますね。盗塁一つでもカウントとか、相手投手のタイプをみながら、ここはストレートを投げさせた方が良いというときは走らないです。考えながら走るようになりました」

 そう語っていたのは、チームトップの34盗塁をマークしている源田である。

 西武は源田の34個を筆頭に、金子侑司の30個、外崎修汰の24盗塁と3人のスピードスターがいる。3人がとにかく走りまくっている印象だが、実はこの3人のスピードスターはタイプがまるで異なっている。

 先のコメントにあるように、後ろの打者が浅村であることを頭に入れて盗塁の駆け引きをしているのが源田なら、「成功率を気にしていたら、スタートは切れない」(金子侑)、「数より確実性が大事だと思う」(外崎)と三者三様なのだ。

 “西武は盗塁を積極的に狙ってくる”と一括りにしてしまうと、大きな落とし穴がある。

 キープレイヤーはやはり源田である。

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源田の足を使った戦術とは…