貴乃花 (c)朝日新聞社
貴乃花 (c)朝日新聞社

 元横綱大相撲の貴乃花親方(46)が日本相撲協会に退職届けを出したことを受け、同協会は1日午後1時から東京・両国国技館で臨時理事会を開いた。

 貴乃花部屋に所属する小結・貴景勝(22)はじめ力士8人と床山、世話人ら計10人の千賀ノ浦部屋への移籍が理事会で認められれば、貴乃花部屋は消滅。貴乃花親方の退職も決定する。

「貴乃花親方はどの一門にも所属していないことから自動的に退職という扱いになる」(協会の関係者)

 これまで協会執行部と激しい対立を何度も繰り返してきた貴乃花親方。だが、現役時代は優勝22回で「一代年寄」となり、誰もが認める相撲界に名を残す名横綱だった。

 貴乃花親方を支援してきたある親方は話す。

「貴乃花親方の相撲への情熱はすさまじい。今でも引退届を撤回して協会に残ってほしいという親方らの声はある。ただ、そういう声を表に出すと協会の執行部から『何を言ってるんだ』『弟子や部屋のためにならんぞ』と言われるので黙っているだけ。今後も解説など何らかの形で相撲界にかかわってほしい」

 NHKの相撲中継の解説は毎場所、さまざまな親方が登場する。

 一方で、今は協会に所属していない元力士らもマイクの前で語っている。NHKの関係者はこう話す。

「元横綱の北の富士、元幕内の舞の海の2人は解説に外せない。2人とも協会から離れているので気を使わずどんどん本音をしゃべってくれる。その解説が非常に的を得ており、好評です。貴乃花親方が退職後、加わってくれるなら、大歓迎です。貴乃花親方は、現役時代から口数が少ない、ぶっきらぼうとみられています。しかし、日馬富士騒動でテレビ番組に単独出演した時は実に饒舌でした。話に説得力がありうまい。お誘いしたいが、協会が猛反発するのは目に見えており、無理だろうな」

 協会とはさんざん対立し、八角理事長ら執行部とコミュニケーションが取れなかった貴乃花親方。しかし、ある大手芸能プロダクションのオーナーはこう話す。

著者プロフィールを見る
今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

今西憲之の記事一覧はこちら
次のページ
貴乃花の将来は…