野上:AERAの対談、読みましたよ。写真もすごかった。じゃれ合っているみたいでした。

村本:もう、たまらなかった。椅子に座る時間も惜しいくらい。対談が終わって、西部さんは「また喋ろう、青年」と言ってくれた。考え方は絶対違うはずなのに、楽しいセッションをしてくれる。後日、西部さんの本が5冊くらい届きました。西部さんが自殺したというニュースを見る前のことでした。

 西部さんが亡くなった後、宮台真司さんと知り合った。西部さんって「朝生」で宮台さんとやりあって途中で帰ったという話がありますよね。「あれ、本当ですか?」と聞いたら、「実はあの話には続きがあってね」と裏話を教えてくれた。あの日、宮台さんが楽屋に戻ると西部さんが酒を飲みながら待っていて、『宮台くん、これからは君の時代だよ』と言って帰っていったと。いい話を聞いたなと思いました。

野上:村本さんには、呼び寄せる何かがあるんでしょうね。正面からズバっと疑問に思っていることを聞くから、周りも真剣に答えなければいけないと思う。西部さんもそうだったんでしょうね。

――お二人が意気投合されたのもどこか共通点、通じることがあったんでしょうか。野上さんご自身は刺激を受けられたんじゃないですか。

野上:そうですね。たいへん刺激もあるし、会うと「俺も何かやらなきゃな」って思わされますよね、本当に。うん。村本さんがどういう風に感じられているかは知らないけれど、僕のほうは。もらっている感じです。

村本:野上さんね、年上ですけど、キュートというか。なんというか、教室の後ろの方に座っているカッコつけの転校生みたいな。

野上:見た目がイケてない(ちびまる子ちゃんに出てくる)花輪くんみたいな?

村本:そんな感じします。それが面白い。あと、楽しんでいる感じもするし、いろんなことを認めていない感じもするかな。

野上:本当に僕はひねくれているんでね、「人間なんて本当に愚かだよね」って自分のことも含めて思っているし、「ふざけるな」「くだらねえな」という気持ちのほうが世の中を愛しているという気持ちよりも強いかもしれません。「世の中の人はこんなにも素晴らしいか」って病気になって思ったけれど、それは病気になって後天的に身に付けたもので、元々の自分はくだらねえなって悪態ついているのが「THE 野上」です。

(構成/AERA dot.編集部・森下香枝、福井しほ)

※後編へつづく

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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