そうでないなら、この世の不条理さと他人の気持ちをコントロールしようとする愚かさをご認識され、自分の目的達成、給料アップ、やりがいある仕事追求に邁進しましょう。

 他人にイライラしてもストレスから病気になったり、仕事のパフォーマンスと給料が一緒にダウンしたり、周りの評価が下がりチャンスを失うだけです。この人の恨みを買ったら怨念で足を引っ張られかねません。さあ深呼吸して自分と向き合ってみましょう。

「処理能力が10倍」と主観的に感じられるとのことですが、それを待遇改善につなげるには、「処理能力の差」を“客観的数字”で、しかもそれが“持続可能”なものであり、それが「会社の収益にも大差をつけている」点を評価者に証明しないといけません。

 それが数字で証明できるなら問題ないでしょう。会社としても「もしそれだけの差がありながらも、その差をそのまま放置する」のは会社の業績にも社員のモチベーション維持向上にもマイナスであることは明白でしょう。

 まずは、コントロール不可能な他人の感情にイライラするより、この証明のための証拠造りにこそ励まれるべきです。

 処理能力を図りアピールする作業は、結果としてそんなに差がなくても、数字でものを見て、数字を創り、数字で説得するという能力を向上させてくれるでしょう。

 そしてそのアプローチは上司を含む経営陣へ大きなアピールとなります。そのデータやアプローチは経営改善に使えるものだからです。

 もし、それだけの差がありながら、評価が変わらないのでしたら、その原因を探ってみましょう。

 それは処理能力の速さが業績に相関しない部署なのかもしれません。それなら処理能力の速さが業績にもっと相関する部署への異動を試みましょう。そうでないともったいないです。

 仮に、あなたの処理能力を評価しない無能な上司や経営陣が原因だとしたら、それこそ異動か転職を想定しましょう。自分の処理能力をもっと評価してくれそうな場所を想定してみることも違う視点で経営を見る目を磨き、自分の能力向上につながります。

 いずれによ、他人にイライラしている暇はありませんよ!

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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