期待されながらも優勝を逃した阪神・金本監督 (c)朝日新聞社
期待されながらも優勝を逃した阪神・金本監督 (c)朝日新聞社

 いよいよ終盤戦を迎えているプロ野球のペナントレース。セ・リーグは広島カープが3年連続9回目の優勝が間近に迫ってきている。セ・リーグでリーグ3連覇を達成した球団はこれまで巨人のみ。機動力野球で一世を風靡した80年代の広島、野村克也監督のID野球で黄金期を築いた90年代のヤクルト、落合博満監督が率いて8年連続Aクラスと抜群の安定感を誇った2000年代の中日でも3連覇は成し遂げることができておらず、いかに偉業かということがよく分かるだろう。また2位とのゲーム差を見ても一昨年は17.5ゲーム、昨年は10ゲーム、今年もここまで10.5ゲーム(9月23日時点)と圧倒的な大差をつけており、まさに広島の独走状態が続いている。

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 広島の強さは称えられてしかるべきだが、その一方で他の5球団の不甲斐なさが目立つこともまた事実である。今シーズンも夏場までは2位以下の5球団全てが勝率5割以下に沈み、“パ・リーグの二軍”と言われても仕方のないような戦いぶりだった。そこで今回は広島の独走3連覇を許すことになったセ・リーグの残り5球団の問題点と広島に対抗するために必要な要素を検証してみたいと思う。

 まずは昨年2位で今年も対抗馬と見られていた阪神。最大の問題は得点力不足である。今年は糸原健斗がレギュラーに定着したものの、続くヒット数を放っているのは糸井嘉男と福留孝介の大ベテラン二人。昨年ブレイクしたかに見えた中谷将大、一昨年の新人王である高山俊はほとんど戦力になっていない。開幕前には4番として期待された新外国人のロサリオの不振は痛かったが、さらにシーズン途中に必要な強打者タイプではないナバーロを獲得したあたりにも編成のちぐはぐさを感じずにはいられない。シーズン終盤にようやく大山悠輔、北条史也、陽川尚将が出てきたことはプラス材料だが、安易に外国人に頼らずにシーズン当初から彼らを抜擢していればもう少し結果が変わっていた可能性もあるだろう。強みは安定感のあるリリーフ陣だが、それも外国人とベテラン頼みで数年後は崩壊している危険性がある。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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