一方、安倍首相に敗れた石破氏。自身が閣僚ポストに着くことは考えていないという。安倍首相にもその考えはない模様。だが、地方票では安倍首相に迫ったこともあり、石破氏支持派に1、2つの閣僚ポストがまわされるという声が多い。

 そこで注目されるのが、小泉進次郎・筆頭副幹事長の処遇だ。今回は総裁選投票直前に石破氏支持を表明した。

「小泉氏ひとりを入閣させれば、石破氏支持陣営もなにも言えなくなる」(官邸関係者)

 これまで頑なに閣僚入りを拒否していた進次郎氏。小泉氏に近い自民党の衆院議員はこう打ち明けた。

「小泉氏は当初、総裁選が始まったころ、石破氏支持を公表、遊説するつもりだった。それが漏れ、安倍陣営から思い留まるように“圧力”があったそうだ。これまで組閣のたびに名前はあがったが、まったくその気がなかった小泉氏。思い留まった小泉氏に安倍首相が入閣を打診する可能性はある」

 ただ、目の前には大きな問題がのしかかる。

 9月30日投開票の沖縄県知事選だ。自民党、公明党が推す前宜野湾市長の佐喜真淳氏が、オール沖縄が擁立した前衆院議員の玉城デニー氏に苦戦。期日前投票の出口調査でも、数ポイントリードしているだけだ。

「沖縄県知事選の結果いかんでは、組閣に影響することもある。まだ総裁選が終わったばかりなのに、党内はいつ安倍首相がやめるか、もうそんなムード。安倍さんは任期3年やりたいんだろうが、そんな雰囲気は周囲だけ。村上誠一郎氏のような安倍首相に遠慮なく物申す議員がかなり増えてくる。政権運営、党内の取りまとめ、かなり厳しいと思う」(自民党のベテラン議員)

 安倍政権の船出は厳しいものとなりそうだ。(今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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