人事を乗り切ったとしても、安倍氏にはさらなるハードルが待ち受けている。来年10月に予定されている消費税の引き上げについては、今年中に実施か延期かの結論を出さなければならない。そして来年春には統一地方選、夏には参院選が待ち受けている。安倍首相は3選を決めた後のスピーチで「憲法改正に取り組みたい」と意気込んだが、それも容易ではない。前出の伊藤氏は言う。

「国民投票で憲法改正案が否決されたら、安倍内閣は退陣せざるをえない。そもそも、憲法改正の発議には公明党が慎重姿勢を崩していない。今後は、憲法改正を言い続けることで求心力を保ちながら、国会での発議は後回しにせざるをえないのではないか」

 安倍首相は、選挙に勝ち続けることによって党内の求心力を保ってきた。それが、党総裁選で党員から思わぬ冷や水をかけられたことで、党内の政治力学が大きく変化する可能性がある。前出の伊藤氏は、こう言う。

「この選挙結果は、安倍政権の“終わりの始まり”となる。安倍氏の任期はあと3年あるが、今日から『ポスト安倍』のレースが始まる」

(AERA dot.編集部・西岡千史)