桃田賢斗「努力しない天才」から「努力する天才」へ “あの事件”から人間性にも変化【元川悦子】

元川悦子dot.
 2年後の東京五輪でバドミントン会場となる武蔵野の森総合スポーツプラザで、9月16日に行われた『ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2018』の男子シングルス決勝。11時半からの試合に登場したのが、7月下旬から8月初旬にかけて開催された世界選手権(中国・南京)のチャンピオン・桃田賢斗(NTT東日本)だった。

【写真】見事な復活劇だった桃田賢斗

 薄暗いフロアに24歳のイケメンプレーヤーがライトアップされながら登場すると、熱狂的女性ファンを含む満員の観客から大歓声がわき起こる。「バドミントン人気を感じたのは、入場してきたところ。すごく緊張しました」と本人もはにかんだ。まさに圧倒的な注目を集める中、彼は頂点を懸けた戦いに挑むことなった。

 凄まじい重圧を背負う中、桃田は自身のプレーに徹した。世界ランキング26位の対戦相手、コシット・フェトラタブ(タイ)に立ち上がりからリードを奪って、第1ゲームを21対14で先取。第2ゲーム序盤こそリードを許す場面があったが、5-4で逆転してからは一気に突き放す。そして20対11のマッチポイントで相手ショットがネットに引っかかった瞬間、日本バドミントン界のエースはコートに倒れ込んで歓喜を爆発させた。

「後半すごいきつくて、自分の中でも途中から『あと何点、あと何点』と数えてました。勝ちが見えてきた時にサーブを打つ手が震えた。それくらい勝ちたい気持ちが強かった。最後の瞬間は『やっと終わった』と。その気持ちと嬉しさと達成感で、しゃがみ込みました」と桃田は安堵感を露わにした。

 わずか3週間前の2018年アジア大会(インドネシア)ラウンド16。地元の英雄であるアンソニー・シニスカ・ギンティング(インドネシア)の勢いに押され、なすすべを見いだせないまま敗れ去った時の消極性と精神的脆さは、今大会の彼には皆無だった。短期間で自信と誇りを取り戻し、長年の憧れだった2008年北京、2012年ロンドン五輪連覇のレジェンド・林丹(リン・ダン/中国)や世界ランキング1位で同い年のライバル、ビクター・アクセルセン(デンマーク)ら強豪を次々と突き放した王者の堂々たる姿がそこにあった。


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過去には奔放な発言もあったが…

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