固まるみやぞん。こんな光景は、「萩大島船団丸」では日常茶飯事だという。

『荒くれ漁師をたばねる力』には、漁師たちとぶつかった数々のトラブルが記されている。

 船団の団長である長岡さんとはとっくみあいのケンカをした。一度は漁師たちから坪内さんが追い出される事件もあった。

「男社会である漁師の世界に、女が、それもよそものの若造が入り込んで、あれこれ口を出すこと自体が生理的に受け入れがたいところもあったのだろう」と著書には書かれている。

 それでも孤軍奮闘する坪内さんを見て、みやぞんはひと言。

「それが坪内さんの使命だったんでしょうね。使命感みたいなものが出てきたんじゃないかと思います。だから奇跡を起こせたんじゃないかと思います」

 何度けんかをしても、最後は仲直りをして、絆が固くなる。それは坪内さんにも漁師たちも共通する大きな夢があったからだ。

 それは萩の海に元気を取り戻すこと。

 番組では坪内さんがこんな感想を語っている。

「萩はわが子のふるさとなので、本当に歴史ある価値ある街が元気に残ってもらいたいと思います」

 日本の地方に活気あふれる漁業を取り戻し、豊かな海を守っていく。そのために、坪内さんは漁師たちの魚を新鮮なまま消費者に届け、利益を漁師たちに還元するしくみを確立しようと奔走している。

 気がつけば、萩大島の豊かな海と漁業の魅力にどっぷりはまっていたという坪内さん。

 この6次産業化のしくみが日本中に広がり、漁師たちに元気な笑顔が戻る未来がくることが、坪内さんが抱く大きな野望である。