ゲーム自体も面白かったが、ほとんどが初対面だった参加者の人たちと、すぐ打ち解けられたのが印象的だった。ゲーム中早く殺されたときやゲームとゲームの合間に、かなり雑談時間がある。近くにいる人と「あのときなぜあんな発言をしたの?」「どうしてあそこで意見を変えたの?」などといろいろ話していると、その人の物の考え方や性格がそこはかとなく伝わってきて、より親しみが感じられるようになった。

 大石さんは去年10月ごろに初めてゲーム会に参加。以後面白さにハマり、何度もゲーム会にでかけた。「やっているうちに、勝ち負けより会話を楽しめるような会を自分でやってみたいと思いました。これは人の本性が出やすいゲーム。『人狼的イケメン』と呼んでいますが、本当の思いやりや優しさのある男性を見極められると思います」。また参加者のイベント企画業、村上彩さん(40)は「ずっとニコニコしていると人にはどう思われるのかなど、いろいろ実験してみると面白い」と話していた。オーバー40にとっても、多彩な楽しみ方があるのだ。

 私のようにたまたまゲーム会にツテのある人はいいが、そんな人が周りにいない場合はどうすればいいのだろうか。人狼ルームのような、有料で体験できる場所に出かけるのが手軽だろう。こうした場所は先に紹介した人数、場所、GMという、初心者にとって高いハードルを乗り越える手助けをしてくれる。人狼ルームは予約さえすれば1人でも参加でき、人を集める必要はない。ルールも教えてもらえて、約3時間で3~4ゲームは体験できる。これで料金は2000円~2500円程度だ。

 児玉氏は「パーティーなどで初対面の人と話すとき、仕事や出身地、生まれ年などが話題の定番ですが、実はそんなことはどうでもいいのかもしれません」と話す。人狼ゲームを一緒にプレイすれば、人となりや性格がそこはかとなく伝わってくる。好ましい人間関係を築くためにはそんな情報の方が、よほど重要だろう。児玉氏は人狼ゲームを、「人生を楽しむためのてっとり早いツール」と評する。人生後半戦をより楽しいものにするため、若者と一緒に人狼ゲームにハマってみるのも、一興ではないだろうか。(五嶋正風)