古田敦也 (c)朝日新聞社
古田敦也 (c)朝日新聞社

 2018年シーズンも終盤戦に差し掛かり、ペナントの行方が気になる今日この頃だが、懐かしいプロ野球のニュースも求める方も少なくない。こうした要望にお応えすべく、「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、現役時代に数々の伝説を残したプロ野球OBにまつわる“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「荒ぶる古田敦也編」だ。

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 古田敦也はクールな頭脳派捕手という印象が強いが、意外や意外、時には武闘派を思わせるラフプレーやパフォーマンスも見られた。二塁上での“抱きつきプレー”が物議をかもしたのが、1995年8月30日の横浜戦(神宮)。

 0対1とリードされたヤクルトは9回表1死からオマリー、古田がいずれも左前に連打して一、二塁と一打同点のチャンス。だが、次打者・真中満は、大魔神・佐々木主浩に一ゴロに打ち取られる。ファースト・駒田徳広が二塁ベースカバーの進藤達哉に送球。古田の必死のスライディングも及ばずアウトになった。

 ところが、直後、勢い余った古田は、左手を進藤の腰のあたりに引っ掛けるような姿勢になり、二塁ベース上で抱きつく形になったため、進藤は一塁送球を妨げられてしまった。

 とはいえ、このアクシデントがなくても、一塁はタイミング的にセーフ。2死一、三塁と思われたが、なんと、守備妨害が適用され、併殺でゲームセット。当然野村克也監督は収まらない。ベンチを飛び出し、「古田も悪いが、どうせ(妨害がなくても)一塁は間に合っていないんやから、注意でええやないか。あんなものはふつう(守備妨害に)取らない」と抗議した。

 古田も「これまで同じようなプレーで注意されたことはない」とまさかの併殺に憮然としたが、渡田均二塁塁審は「一塁が間に合うかどうかは関係ない。明らかに非紳士的なプレー」という理由で却下。“抱きつき”の代償はあまりにも大きかった……。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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首投げが炸裂…