ガンバ大阪でキャプテンマークを巻いている三浦弦太(G大阪)、19歳という若さながら非常に落ち着いた立ち振る舞いを見せる冨安健洋(シントトロイデン)は有望な人材だ。が、彼ら以上に推したい選手がいる。22歳の伸び盛りのボランチ・三竿健斗(鹿島)である。

 西野朗前監督体制のロシア候補メンバー35人枠に入り、千葉県内での1次合宿にも参加していたが、最終的に落選の憂き目に遭ったのがこの男だ。本人はいち早く気持ちを切り替え、鹿島でのプレーに注力。8月28日のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝・天津権健戦第1レグ勝利の原動力にもなった。幼少期をカナダで過ごしていたため英語の意思疎通にも優れ、中学高校時代は進学校の立教池袋に通っていたインテリ選手という点も、藤枝東出身の長谷部に通じるものがある。表立って人前で何かを発信するタイプではないが、長谷部も南アワールドカップ前まではそういう人物ではなかった。「立場が人を変えた」と藤枝東時代の恩師・服部康雄監督(現静岡県サッカー協会専務理事)も話していたが、若い選手というのは何かきっかけを与えれば、メンタル的に大きく変化することも少なくない。ここは思い切って抜擢してみるのもありだろう。

 10月の日本代表2連戦(12日・パナマ戦=新潟、16日・ウルグアイ戦=埼玉)以降は吉田らロシア主力組が戻ってくる。吉田のみならず、「自分たちが中心となってやっていく」と語気を強めた原口元気(ハノーファー)なども復帰すると見られるだけに、若い選手がアピールするとしたら今回くらいしかチャンスがない。三竿ら若手には「自分がやるんだ」と立候補するくらいの意気込みと気概を見せ、代表世代交代の機運をより一層、高めていくべきだ。(文・元川悦子)