長きにわたって日本代表の主将を務めた長谷部誠 (c)朝日新聞社
長きにわたって日本代表の主将を務めた長谷部誠 (c)朝日新聞社

 2018年ロシアワールドカップラウンド16・ベルギー戦(ロストフ)の死闘から2カ月。森保一監督率いる新生日本代表が動き始めようとしている。

 初陣となる札幌ドームでのチリ戦(9月7日に開催予定)は、6日に発生した地震の影響で開催が微妙になっているが、今回ロシアで主力として戦った香川真司(ドルトムント)、大迫勇也(ブレーメン)ら主力は揃って不在。代表引退を表明した長谷部誠(フランクフルト)後のキャプテン最有力候補と見られた吉田麻也(サウサンプトン)も招集されていない。吉田はユース代表時代からの盟友・槙野智章(浦和)に連絡し「主力がいなくてもA代表の価値を下げないようにしてほしい」と伝えたというから、リーダーとしての強い自覚を持っているのは確かだ。ただ、その男が不在である以上、今回は新たな統率役が求められるのは間違いないだろう。

 札幌合宿2日目の4日には、森保監督が32歳の青山敏弘(広島)に「集合(と声をかけろ)」と指示し、ベテランボランチの号令によって冒頭ミーティングがスタートするという一幕が見られた。この場面に象徴される通り、指揮官がリーダー役の筆頭として青山を位置付けているのは事実だ。サンフレッチェ広島を率いてJ1で3度優勝を果たした時もつねに中盤をコントロールしていた男への信頼感は絶大。新チームの第一歩となる試合では、秘蔵っ子に自身のコンセプトを広く伝えてほしいという思いも強いはずだ。

 とはいえ、青山は本田圭佑(メルボルン)や岡崎慎司(レスター)、長友佑都(ガラタサライ)と同じ86年生まれ。本人は4年後の2022年カタールワールドカップを目指す意思を鮮明にしているが、年齢を考えるとやや厳しい部分も否めない。それは31歳の槙野にしても同様かもしれない。

 かつて長谷部が26歳だった2010年南アフリカワールドカップ直前に突如としてキャプテンマークを託され、中堅世代として上と下に配慮しながらチームをまとめて、そこから8年間戦い抜いたように、20代半ば以下の選手にリーダーが出てきてくれれば、今後を考えても非常に心強い。そこは1つの注目点と言っていい。

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「ポスト長谷部」に名乗りを上げるのは…