――協会は再三注意をしてきたということだが。

 前所属のクラブの時に口頭注意を受けたことがあります。体操協会から正式に注意はなかったのですが、暴力というよりも、指導スタイルが熱くなって怒鳴ったりとか大声で注意したりということがあったので、そういうスタイルを変えていかないといけないという注意がありました。

――それでもやめられなかった。

 そうですね。指導も9年目になるんですが、最初は危険を伴う場面などで叩いても教えるということが必要だと思って教えていました。ここ数年は、「よくない」とわかっていながらも、我慢できずに叩いてしまったのが数回あります。

――自分もそういう指導を受けてきたのですか。

 そういう指導を受けていました。

――具体的には。

 ほっぺたを叩かれたとか、気持ちが入っていないときに叩かれたとか。当時はそれに対して「教えてもらえた」という感謝の気持ちを持っていました。そこが自分の根底にありました。そういう認識が本当に間違いで、考え直さなきゃいけないことを、今回を通じて一番学んだこともあります。

――スポンサー会社と契約のトラブルはあったのか。

山口政貴弁護士:契約のトラブルに関しては、スポンサー会社の代理人と私で協議しまして、合意しています。どんなトラブルに関わっていたか、速見コーチに関することや交渉内容については、ここでは回答を控えさせていただきます。

――契約トラブルが問題なのか、朝日生命の引き抜きが問題なのか。

 合宿の件で体操協会の登録が、メールで登録が外れたという通知が来たんですけど、NTC(ナショナルトレーニングセンター)に入れないことについては、宮川選手の登録が外されている状況でした。登録が宮川選手のコーチとしての登録がなされていないので、NTCに入れないというのが私の認識でした。

――直接、塚原夫妻に言われたわけではない?

 そうですね。メールでの通知が来て、次の日にナショナル専任コーチから、こういう理由でNTCに入れなくなったので合宿には来れなくなりました、という連絡をもらいました。

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