実際、「世代交代」と「世代間の融合」を大きなテーマに掲げる新指揮官は、今回の代表2連戦には欧州組の若手と国内組だけを呼んでいる。97年生まれ以降の東京五輪世代の筆頭である堂安律(フローニンゲン/オランダ)、冨安健洋(シントトロイデン/ベルギー)、伊藤達哉(ハンブルガーSV)の3人も抜擢。若い選手にチャンスを与えようという姿勢を鮮明にしているだけに、年長のロンドン世代には不利な情勢だ。この実情を強く認識する山口は「次のワールドカップまで4年あるから、先を見越して若手中心で一からチームを作っていく方法もあると思う」と率直な考えを吐露。だが、山口は森保体制初陣を負傷で辞退しており、この先の代表活動参加は不透明と言わざるを得ないだろう。

 加えて言うと、長友佑都(ガラタサライ/トルコ)のように実績ある“30代おっさん世代”もまだまだ先を目指そうとしている。長谷部は代表引退を公言したものの、30歳前後の吉田、香川も代表継続を口にしていて、ロンドン組は上からも下からも板挟みにされている格好だ。彼らの行く末が険しいのは確かだが、サッカー選手として最も脂の乗っている20代後半を迎えている彼らが日本代表の中心になりきれないまま終わってしまうのは、あまりにもったいない。ロシア行きを逃した清武などは「僕はまた代表に行きたい。チャンスがある限り目指したいと思う」と新たな意欲を口にしているだけに、今後の巻き返しを求めたいところだ。

 さしあたって9月2連戦の代表メンバーには、ロンドン組から権田修一(鳥栖)と杉本健勇(C大阪)が名を連ねている。杉本が「自分には次のワールドカップしかチャンスがない。この4年間に全力を注ぎたい」と闘志を燃やしたように、彼らにはまだまだアピール機会が残されているはず。「不遇の世代」のレッテルをはがし、他のロンドン組に刺激を与えるべく、権田と杉本の2人には森保体制初陣で何らかのインパクトを残してほしいものだ。(文・元川悦子)