――マウントアダプター FTZでFマウントのレンズを使ったときの画質に違いは?

 光学性能は今回のZシリーズの方が解像感はあります。レンズが世の中にこれだけあるのは、それぞれ個性があるからです。Zマウントの今回のレンズは、高解像・低収差のレンズで、被写体の立体感や撮影場面の空気感を再現できることを目指しています。収差の面では、言い方を変えるとあえて個性を減らして、作品の素材としての画を撮れるレンズにしています。一方、マウントアダプターFTZを使えばこれまでのFマウントのレンズも使えますので、オールドレンズなどの収差を活かした撮影で、レンズの個性も楽しめます。マウントアダプターFTZ使用時には一部のレンズで制限がありますが、AFモーター内蔵のレンズはAFが使えますし、CPU内蔵であればAEが利用できます。CPU非搭載の例えばオートニッコールでも実絞りの絞り優先AEで利用できます。ただ、マウントアダプター FTZでFマウントレンズを色々試している中で、うっかり間違えてFマウントのレンズをそのままZのボディーに付けないように注意をお願いします。ZマウントはFマウントより大きいため、そのまま入ってしまいセンサーを傷つけてしまうことがありますのでご注意ください。

■内径55ミリフランジバック16ミリの光学性能を重視したマウント

――マウントは非常に大きいですが、ボディーの小型化を考慮してもう少し小さくしたいなど社内で揉めませんでしたか?

 様々な視点から何度も議論を重ねて来ました。Fマウントは登場して59年経ちます。Fマウント同様に長期間の使って頂けるマウントであるようにと、チームメンバーで色々意見を出し合い最終的に全員が納得して決まりました。マウント径を大きくしフランジバックを浅くしたほうがレンズ設計の自由度は高まります。ミラーレス用の新マウントについては「Fマウントでは実現できなかったレンズを作ろう」「性能を重視しマウントは大きくすべき」という意見が大勢を占めていて、レンズ側とボディー側の設計者みんなで決断しました。また、いくらボディーを小さくしても、その結果レンズが大きくなっては意味がありません。システム全体として小さくすることを狙っています。

※インタビューの一部を抜粋。9月20日発売「アサヒカメラ 10月号」では全文のほか、ニコンZシリーズを詳報する

(聞き手/赤城耕一、構成/猪狩友則)