「ポジティブ思考」が実はヤバい理由

 いつも機嫌よくいたい。それなのに、ちょっとしたことでウジウジ、イライラしてしまう。おそらく多くの人が、なんとか「ネガティブ感情をポジティブ思考で『ポジティブ』に変換したい、と思うのではないか。しかしスポーツドクターの辻秀一さんは、この方法は必ずしも得策ではないと言う。それはなぜなのか? ではどうすればいいのか? 優良企業や一流アスリート、有名アーティストなど数多くの指導実績があり、最近『先生、ウジウジ・イライラから一瞬で立ち直る方法を教えてください!』(朝日新聞出版)も刊行した同氏に「本当に効果的なメンタルマネジメント法」を聞いた。

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「問題」には必ず「原因」があり、「原因」を突き止めれば「解決法」が見えてくる。これが問題解決の常道です。

 つねに問題解決的な思考をしているビジネスパーソンなどは、ふとネガティブ感情に襲われたときにも、「何が自分をこんなに落ち込ませているのか」と考えようとするかもしれません。

 でもネガティブ感情の「原因」は、そのつど異なります。「パフォーマンスを下げないために、なるべく素早くネガティブ感情から立ち直りたい」というときに、ちくいち「原因」を探るのは大変です。ともすれば、原因が見つからず、解決法もわからない「原因迷子」になって、ますますパフォーマンスが下がってしまいかねません。これをワイワイ(whywhy)暴走と呼びます。

 そもそもの問題は「ネガティブ感情を引きずってしまうこと」。「何が原因か」よりも、もっといえば「原因」なんて特定できなくても、「いかに素早くネガティブ感情から立ち直るか」にフォーカスしたほうが、ずっと効率的なのです。

 では、ネガティブな状況を「ポジティブにとらえなおす」というのはどうでしょうか。

 たとえば仕事で嫌な思いをしたときに、「勉強になった」「今後の仕事に生きるはず」と考える。こんなふうに、何とか前向きに考える努力をするというのは、よくあることだと思います。

 ただ、「とらえ方を変える」というのは、一見、よさそうな方法でありながら、繰り返していると、かえってしんどくなるという難点があるのです。

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