ライフスタイルが原因でトラブルを起こしてしまう疾患だ(※写真はイメージ)
ライフスタイルが原因でトラブルを起こしてしまう疾患だ(※写真はイメージ)

 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は女性のデリケートゾーンのトラブルについて、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

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「デリケートゾーンがかゆい、ムズムズする」「白いおりものが増えた気がする」

 そんな女性特有のトラブルを経験したことはありませんか?

 膣やその周辺部に非常に激しいかゆみが出現し、白く濁ったおりものが増える疾患に「カンジダ膣炎」があります。膣内の常在菌であるカンジダという真菌が増えることによって生じる疾患です。

 まず、通気性の悪い下着や、ぴったりしたズボンやタイツを着用していませんか? 高温多湿の環境が原因の一つとして知られているカンジダ膣炎。実は、ライフスタイルが原因で、デリケートゾーンにトラブルを起こしてしまう疾患でもあります。温度だけでなく湿度も高い気候が続いている今、女性のデリケートゾーンのトラブルについてお話したいと思います。

 1995年の米ミシガン大学のGeiger氏らによる1027人の大学生を対象にした報告によると、17歳を過ぎると急速にカンジダ腟炎と初めて診断される女性が増え、25歳までに、54.7%の女性がカンジダ腟炎を経験したことがあったと言います。また、2013年の米ミシガン大学のFoxman氏らが行ったヨーロッパ5カ国と米国の16歳以上の女性6010人を対象とした調査によると、国によって異なるものの、参加した女性の29~49%の女性が、生涯において少なくとも1度のカンジダ腟炎を発症していることがわかりました。

 女性にとって、カンジダ膣炎はデリケートゾーンのトラブルにおける一般的な疾患の一つなのです。

 私ごとで恐縮ですが、私もカンジダ膣炎にたびたびなり、マイナートラブルを引き起こしてしまう一人です。抗菌薬を内服すると、必ずと言っていいほどかゆみが出現してくるのです。梅雨のシーズンや暑い時は、ただでさえ生理用品でかぶれやすくなっているのに、カンジダになって痒くて辛い、なんてことがよくあります。

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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