「調査にきたシンクタンクの人は道路幅を計測したり、屋台のたこ焼きの値段がいくらとか、駐車場が満車になったかなど、細かく調べていた。結局、この調査には500万円かかりました。協会と徳島新聞が出しました。シンクタンクには『絶対に大丈夫ですね、表に出る可能性がある数字ですよ』と念押しまでして、出た結果ですから信用性が高い」(前出・元協会幹部)

 子供の時から60年近く阿波踊りにかかわる山田理事長に昨年と比較してもらうと、こう分析した。

「今から10年以上も前、全盛期には、阿波踊り会場を端から横断していくのに、普段は徒歩3分くらいのところが、人が多くて15分以上かかった。だが、今年は半分以下の人出。この報告書の結果は、正確だと思います」

 阿波踊りの人出は毎年、主催者が発表してきた。今年は108万人、昨年は123万人、一昨年も123万人。

 毎年、100万人を超すビッグイベントであったのが、内実はまったく違うものになってくる。

「なぜ、シンクタンクに調査を依頼したかといえば、人出の調査がええ加減なんですよ。協会の役員、徳島新聞、徳島市役所の経済部幹部が阿波踊り開催期間中、街を歩いて、『去年より人出が多いな』『駐車場も満車らしいな』とそんな調子で、人出を発表していた。はっきり言って、いい加減なものです。客観的データがないと、赤字の阿波踊りを改革できないと、安くないお金を払い、依頼したのです」(前出・元協会幹部)

 そこで、実行委員会を担当している、徳島市の経済部、須藤浩三氏に聞いた。

――シンクタンクが人出は20万人ほどと報告書に書いている。実行委員会の発表が108万人。どうカウントしているのか?

「人出の計算は、去年までと同じ方法です。ホテルの宿泊者数、駐車場、そして実行委員会と徳島新聞とで阿波踊りの会場周辺を見て歩き、総合的に判断しました。報告書のことは知りません」

――シンクタンクの報告書で約21万人、子供や80歳以上の高齢者を入れても、30万人にすら届かないとみられる。実行委員会の発表と5倍もの差があるが?

「うちは108万人、調べ方が違うと数字も変わるのです」

――昨年は123万人の人出と発表され、今年は108万人。大幅に人出が減った原因は一連のゴタゴタが影響しているのか?

「最終日が雨だったからですよ」

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徳島新聞関係者が明かした「内情」