メルカリで実際に出品されていた感想文。1時間も経たずに「SOLD」するものも多かった
メルカリで実際に出品されていた感想文。1時間も経たずに「SOLD」するものも多かった
記者が購入した感想文。「匿名配送」のため、出品者の素性は不明
記者が購入した感想文。「匿名配送」のため、出品者の素性は不明

 熱戦が繰り広げられた高校野球。その「甲子園の土」がフリーマーケットアプリ「メルカリ」で出品されていることが判明し、日本高野連事務局長も「けしからん話。誠に遺憾」と憤慨した。だが、けしからん出品物は土だけではない。フリマアプリやオークションサイト「ヤフオク!」などでは、なんと「夏休みの宿題」の出品が横行している。今回、実際に売りに出されている、ある「読書感想文」を購入。現役の国語科教員に「採点」してもらい、昨今の読書感想文事情についても話を聞いた。

【お値段800円】記者が購入した読書感想文はこちら

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 メルカリやヤフオクを開いて「読書感想文」で検索するだけで、商品がずらりと表示される。内容は太宰治『走れメロス』、ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』など文学作品の王道から、村田沙耶香『コンビニ人間』、森絵都『カラフル』といった芥川賞・直木賞作家の作品まで幅広い。さらに商品を詳しく見ると、丁寧に「枚数は5枚程度」なる情報が書かれているものが多く、原稿用紙に手書き、もしくはワードで打ち込んだものをプリントアウトした商品が目立つ。少数派ながら、ルーズリーフに手書きしたものもあった。

 価格は500~1000円の商品が多く、商品説明には「高校生の頃に書きました」「文学部卒業です」といった記述も。かつて自分が書いた宿題を売りに出す人もいるようだ。単行本が1冊1000円前後かかることを思えば「本を買うより安上がり」に感じるのか。さらに「急ぎの場合はメールで」などと手厚い対応を匂わす出品者もいた。

 記者が購入したのは太宰治『走れメロス』。教科書にも採用されており、いわば小中高と読書感想文の「ド定番」。400字詰めA4サイズの原稿用紙5枚で価格は800円。印字された文字は枠からはみ出すことなく読みやすい。その仕上がりの高さからも、出品にこなれた印象さえ受ける。実際にこの出品者は「オリジナル」として、他にも複数作品の感想文を出品していた。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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現役教員が採点!800円メロスはまさかの…