馬場:僕もそうなんだけど、ベースを遡れといわれると、今和次郎の考現学に行き当たる所があって。今和次郎は、関東大震災の復興で人々が色々なところから拾ってきたごみとか、がれきとか集めてバラックに可能性を見出したわけだし。

三浦:石山さんの『バラック浄土』ね。

馬場:そう。はしくれで建築をつくっていくってのは、人々の営みというか、素人の営みの活き活きした感じをポジティブにとらえなおすきっかけだった。あれが僕のベースかな。

※2018年4月28日 於:御茶ノ水山の上ホテル

(構成/三浦展)

馬場正尊(ばば・まさたか)/オープンA代表取締役・建築家・東北芸術工科大学教授。1968年佐賀県生まれ。1994年早稲田大学大学院建築学科修了。博報堂、早稲田大学博士課程、雑誌『A』編集長を経て、2003年オープンAを設立。2003年から「東京R不動産」を運営、人気となり全国各地のR不動産ができる。建築設計を基軸にしながら、公共空間づくりなど幅広い活動を行っている。著書に『公共R不動産のプロジェクトスタディ』『エリアリノベーション』『都市をリノベーション』など多数。

三浦展(みうら・あつし)/社会デザイン研究者。1958年生まれ。82年 一橋大学社会学部卒業。(株)パルコに入社し86年同誌編集長。90年三菱総合研究所入社。99年 「カルチャースタディーズ研究所」設立。消費社会、都市、郊外などの研究を踏まえ、時代を予測し、社会デザインを提案している。 著書に『下流社会』『第四の消費』『吉祥寺スタイル』『高円寺東京新女子街』『東京田園モダン』『新東京風景論』『ファスト風土化する日本』『東京高級住宅地探訪』『東京郊外の生存競争が始まった!』など多数。