そんな彼らは起死回生を狙って『プレゼンタイガー』(フジテレビ系)という番組の企画で「手裏剣トリオ」に改名した。しかし、鳴かず飛ばずの状況は変わらず、2004年にはコンビを解散した。

 また、元アニマル梯団のおさるとコアラも占術師の細木数子の特番で彼女からアドバイスを受け、おさるは「モンキッキー」に、コアラは「ハッピハッピー。」に改名した。同じく細木の勧めでX-GUNはコンビ名を「丁半コロコロ」に改めた。占いの専門家である細木による改名はいかにも効果がありそうだが、実際には彼らの状況はさほど好転しなかった。

 芸人が芸名を変えてもあまり効果が見られなかった場合には、新しい芸名が世間に浸透する前にそっと元に戻す、というのが1つの流れになっている。ライセンスは番組の企画で「ザ・ちゃらんぽらん」に改名したが、のちに元に戻した。千鳥のノブは『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)の企画で元ビーチバレー選手の浅尾美和に「小池さん」と名前を間違えて呼ばれたことから「ノブ小池」に改名していたが、その後に「ノブ」に戻った。最近では『キングオブコント』でも決勝進出経験のある2700が自分たちの意志で「ザ ツネハッチャン」に改名していたが、元に戻したことを発表した。

 芸人たちはなぜそんなに気軽に改名をするのか? その最大の理由は、番組の企画などで改名を強いられることが芸人としては「おいしい」という風潮があることだ。一般に、芸人はミュージシャンなどに比べると、自分の芸名に対するこだわりが少ない人が多いのではないかと思う。

「テレビの世界で成功するためにはどんな機会でも積極的に利用するべきだ」という風潮があるため、番組の企画で改名を勧められたりしたら、大半の人は「ひとまず乗ってみよう」というふうに考えるのだろう。改名企画は「フリ・オチ」で言うところの「フリ」にあたる。おいしいネタを振られたらまずは乗らなくてはいけない、というのが芸人の世界の不文律なのだ。

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「さまぁ~ず」と「くりぃむしちゅー」の存在が…