くりぃむしちゅー (c)朝日新聞社
くりぃむしちゅー (c)朝日新聞社

 8月14日放送の『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ系)で、1人の若手芸人の運命を変えるかもしれない出来事があった。昨年の『キングオブコント2018』でも決勝に進んだ実力派芸人であるパーパーのほしのディスコが、自らの芸名を変えることになったのだ。

 ほしのは以前からPerfumeの大ファンであることを公言していた。番組の特別ゲストとしてPerfumeの3人が登場すると、ほしのは緊張しすぎて挙動不審になり、彼女たちと目も合わせられなかった。

 そんな彼は「新しい芸名(個人名)を考えてほしい」と3人にお願いをした。すると、Perfumeののっちが「三人合わせて星野です」という名前を提案。これを受け入れて、ほしのディスコはこの番組のオンエア後から正式に「三人合わせて星野です」に改名することになった。現時点ですでに事務所の公式サイトのプロフィール欄でも名前が差し替えられているのが確認できる。

 芸人が番組の企画でコンビ名や芸名を変えるのは珍しいことではない。過去にもいくつかのケースがある。最も有名なのは『新・ウンナンの気分は上々。』(TBS系)の企画で「バカルディ」が「さまぁ~ず」に変わり、「海砂利水魚」が「くりぃむしちゅー」に変わったことだ。この2組は当時すでに業界内では実力を認められていたのだが、世間的には今ひとつブレークできずにいた。ただ、改名した頃から徐々に仕事が増え始め、次々に冠番組を獲得する人気者に成長した。この改名企画に携わった内村光良は、それによって芸人の人生を左右してしまうことに責任を感じ、これ以降は芸名を変える企画には手を出さないことに決めたという。

 この成功にあやかって、改名という禁断の果実に手を出したのが有吉弘行と森脇和成のコンビである猿岩石だ。彼らは90年代中盤に『進め!電波少年』(日本テレビ系)のユーラシア大陸横断ヒッチハイク企画で大ブレークして、一躍時の人となった。しかし、ブームが落ち着くと人気も下降線をたどり、みるみるうちに仕事は激減してしまった。

著者プロフィールを見る
ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

ラリー遠田の記事一覧はこちら
次のページ
起死回生を狙って改名したが…