2010年、センバツで21世紀枠選出の向陽に敗れた開星は、「21世紀枠に負けたのは末代の恥」の発言が物議をかもし、野々村直通監督が辞任。山内弘和新監督の下、「勝つ野球」を合言葉に春夏連続の甲子園出場をはたした。

 1回戦の仙台育英戦では、そんなナインの勝利への執念が実り、3対3の7回に白根尚貴(現DeNA)の中越え二塁打で2点を勝ち越した。

 5対3で迎えた9回もエース・白根が気迫の投球で2死無走者。勝利まであと1人となった。

 だが、仙台育英はここから最後の粘りを見せる。安打、死球、遊ゴロエラーで1点を返し、なおも2死満塁。

 ここで2番・日野聡明は詰まった中飛を打ち上げた。マウンドでは勝利を確信した白根がガッツポーズする。ところが、ここから開星にとって「悪夢」としか言いようのないまさかのどんでん返しが待ち受けていた。

 センター・本田紘章がグラブを掲げて落下地点で捕球態勢に入った直後、打球が強風に戻され、懸命に差し出すグラブに当たってから、ポトリと地面に落ちた。

 この間に2人の走者がホームを駆け抜け、5対6と逆転されてしまった。

 その裏、1点を追う開星は2死一、二塁のチャンスをつくり、1番・糸原健斗(現阪神)が左中間に痛烈な当たりを放つ。土壇場での逆転サヨナラタイムリーと思われたが、レフト・三瓶将大が横っ跳びに倒れ込みながらキャッチするスーパープレーでゲームセット。

 開星の甲子園での雪辱勝利は、野々村監督が復帰した翌年夏まで持ち越されることになった。

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大阪桐蔭の春夏連覇が消えた…