イニエスタが加入した7月以降、神戸は基本的に練習を一般非公開としている。神戸市・いぶきの森練習場は現在、トップチームが使うグラウンドに幕が張られ、簡単に中が見えないようになっている。メディアでさえも取材できる時間はほんのわずかだ。イニエスタの育ったバルセロナ(スペイン)、あるいはポドルスキが過ごしたアーセナル(イングランド)など欧州トップクラブではこれがスタンダードだが、近隣や地元との間に壁がある印象も否めない。これには寂しさを覚える人もいるだろう。

 クラブ側はノエビアスタジアム神戸での練習を月1回程度実施して、ファン・サポーターがイニエスタやポドルスキの世界基準のプレーを見られる機会を作っていく考えのようだが、当面はスケジュールが出ていない。カタール人DFアフメド・ヤセルも加わって外国人6人体制の“多国籍軍”となった今、吉田監督や現場にとってはいかにして彼らを1つのチームにまとめ上げていくかが最重要テーマ。クローズな環境で集中したいのもよく理解できる。そういう事情も踏まえながら、いかにしてこの先、地元との連携を図っていくのかが課題だ。

 三木谷会長も話しているように、イニエスタ効果はクラブのみならず、日本、アジア、世界へと波及していくべきものであるはず。そのための最善の手段をぜひとも早急に考え、打ち出してほしいものである。(文・元川悦子)