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半世紀前の恋が忘れられない相談者に、鴻上尚史「やることはきまってるじゃないの…」

連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」

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 鴻上尚史の人生相談。「小3のときに恋したKちゃんと同窓会で再会」と悩みを深める相談者に、鴻上尚史がかえしたシンプルな回答とは?

【相談3】「小3の恋が忘れられない」(相談者:55歳 男性 しばやん)

 もう半世紀も前の小3の時、同じクラスになったKちゃんが大好きになりました。寝ても覚めてもその子のことが頭から離れず、小2までは虚弱体質で休みがちな私でしたが、その年は皆勤賞でした。

 告白もせず、やがて別の中学に進み、会うこともなくなりました。私は時間が経てば忘れるだろうと思っていましたが、その後、どんな恋愛をしても、あまつさえ結婚しても、そのKちゃんの時に感じた感覚を身体が覚えていて、比較してしまう半生でした。

 ある年の同窓会で再会し、私は努めて平静を装いながら話をしました。結婚して、私の子と同じ歳の息子さんがいることを知りました。

 それから今も、火鉢の底で赤く灯る炭のような私の思いは続いています。

 私はこの業(ごう)を抱えたまま年老いていく自信がありません。どうしたらよいのでしょうか。

【鴻上さんの回答】やることは決まってる

 どうしたらいいって、そんなに苦しいならやることは決まってるじゃないの。Kちゃんに今すぐ電話して、「会いたい」と言う。

 で、会ったら「小3以来、ずっと好きです」と言う。そこからは、流れに身を任す。Kちゃんに笑われるか、呆れられるか、「じつは私もなの!」と叫ばれて離婚の手続きに入るか、「キモッ!」と言われるかはやってみないと分かんないでしょ。よく言うでしょ。やった後悔より、やんない後悔の方がでかいって。これは真実。

 そんな勇気はないって言うなら、しばやんの熱情はそんなもの。「埋(うず)み火」のような思いを毎日見つめながら生きていくのです。それはそれで素敵よ。

 こんな質問に回答したくてこの連載を始めたのもあります。はい。


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鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。また近著に『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』(講談社現代新書)、谷川俊太郎氏との共著に『そんなとき隣に詩がいます ~鴻上尚史が選ぶ谷川俊太郎の詩~』(大和書房)がある。

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