親にとっては教育ローンと奨学金のダブルローンになりかねない(※写真はイメージ)
親にとっては教育ローンと奨学金のダブルローンになりかねない(※写真はイメージ)

 大学の学費を家計から捻出する余裕がない時に、真っ先に思い浮かぶのが奨学金の活用だ。しかし近年、貸与型の奨学金を返済できず、自己破産に陥る若者が社会問題にもなっている。AERAムック「就職力で選ぶ大学2019」では、教育費に詳しいファイナンシャル・プランナーの畠中雅子さんに、賢い奨学金の活用法を聞いた。

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 2017年にようやくスタートした日本学生支援機構の「給付型」奨学金だが、初年度の利用者は少なかったようだ。

「住民税非課税世帯という条件が厳しく感じられたのでしょう。でも実際はシングルマザー遺族年金で生活している世帯など、対象者は意外に多い。何より返還不要の奨学金なので、もっと多くの方に活用してほしいですね」(畠中さん)

 もう一方の「貸与型」は2018年度入学者から貸与金額が変更。これまでは私立大学で自宅外であれば、6万4000円を毎月貸与されたが、これが2万円、3万円、4万円、5万円から選択できるようになった。

「借り過ぎ防止の観点と併せて、限られた財源のなかで、第1種奨学金(無利息)の適格者を全員採用するため」の手段だという。

 いずれにしても貸与型の奨学金は子ども(学生)にとっての借金であり、親が負担する教育ローンとのバランスが大切だ。

「教育ローンと同様に、奨学金もインターネット上でシミュレーションできるので、必ず試算してください。大学卒業後に子どもが返済していくので、彼らのライフプランにも大きく関わってくるからです。また、親が連帯保証人になるので、子どもが失職したら、親が払うことになります。親にとっては教育ローンと奨学金のダブルローンになりかねません。これが老後破産の引き金になるのです」

 逆にいえば、教育ローンと奨学金返済にうまく対処できれば、老後の心配が少なくなるということだ。そのための「貯金簿」を畠中さんは提案する。

■ズボラでもOK。半年に一度の「貯金簿」を

「貯金簿」は夫、妻、子どものそれぞれの資産を合算する帳簿で、家計簿のように毎日つける必要はない。3カ月または半年に一度つけることで資産を整理し、数字で客観的に把握できる。

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老後資金が足りなくなりそうなら…