ここで気になるのがカッコ内の順位だ。共に3桁のフェアウェイキープ率はそこまでの差がないが、パーオン率を見ると2.47%違うだけで76位もダウンし今季は92位。これは2014年の116位(64.03%)に次ぐワースト順位で、セカンドショットの精度が他選手と相対して劣るということだ。

 松山が用品契約先のドライバーを使っていないことはゴルフファンの間でもかなり有名なところだが、今年はエースドライバーが決まらず、試行錯誤を繰り返す日々が続いている。前週のWGC-ブリヂストン招待ではキャロウェイゴルフの欧州限定モデル「XR SPEED」ドライバーでプレーしたが、メディアの報道によれば、これが今季5度目のクラブ変更となった。

 パーオン率だけで単純にショットの好不調を判断できるわけではないが、一つの基準とするなら、ドライバーばかりを気にするのではなく、ティーショットは確実にフェアウェイをとらえることを考え、そこからグリーンにしっかり乗せるということを復調への一丁目一番地にしても良いのではないだろうか。

 また、置かれた状況をもう少し気楽に考えることも大切だ。松山は米ツアー参戦以来、常に第一人者として見られ、メジャー制覇という日本ゴルフ界の悲願を背負ってきた。しかもこの大会は昨年、メジャーVが手に届くところまできており、さらに期待がかかってしまう舞台だ。現在の松山の調子を考えれば、「メジャー制覇」「悲願」などと過度に期待せず、静かに見守っても良いし、松山も自分だけのことを考えてプレーするべきだろう。

 すると39位タイに終わったWGC-ブリヂストン終了後に、松山がこんな言葉を口にした。

「(全米プロでは)もう僕に期待しないでください」。

 不調から思わず発した言葉なのか、本心なのかは分からない。しかしこのメジャーは、期待しないということが松山への一番のエールとなるだろう。